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『今晩は荒れ模様』(黒田育世、白河直子(H・アール・カオス)、森下真樹、振付:笠井叡) [ダンス]

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共通しているのは、それぞれが舞台に立つ以前に、そのカラダそれ自体がダンス作品であるという、ダンサー主義の極北にいる人達である、ということです。
ですから、このダンサーと音楽選定が終わった段階で、すでにその作品の大半は立ち上がっています。
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 2015年3月29日は夫婦で世田谷パブリックシアターに行って、笠井叡さんの新作を鑑賞しました。6名の女性ダンサーが踊る、ノンストップ110分の豪華公演です。

 何しろ出演メンバーが凄い。強烈な個性で知られる猛者ばかり。いずれも、たったひとり舞台にいるだけで観客を圧倒する、ほとんど伝説的なダンサーたち。彼女らが同じ舞台に立ったら、いったいどうなるのか。荒れ模様というより、アポカリプスなうなう。


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アポカリプス。黙示録。
黙って示す、すなわち、ダンス。
地球の中心の小さな黒い太陽が、
ダンサーの身体を通じて輝くのだ。
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 笠井叡さんによる短い導入ダンスの後、いきなり黒田育世さんと寺田みさこさんが古典バレエっぽい構成で踊ります。方向性こそ大きく違えど、ともに圧倒的な力強さで感情をぐいぐい揺さぶってくる、決して慣れるということがないダンス。この時点ですでに度肝を抜かれます。

 続いて、上村なおかさんと森下真樹さんによる、歌舞伎めいた掛け合いも印象的な、思わず手下になりたくなるようなかっちょいい姐御ダンス。尻子玉まで抜かれます。

 そして、白河直子さんのソロダンス。たった一人そこで踊るだけで、舞台はH・アール・カオス風の劇的空間に。圧倒的パワーに観客も引き込まれてゆきます。ひさしぶりに観ることが出来たその雄姿、もう根っこが抜けて泣きそうに。

 これだけ盛り上げておいて、山田せつ子さんはどうするのかと心配になりましたが、大丈夫。研ぎ澄まされた静かなダンス、確信に満ちたその繊細な動きが、舞い上がった客席の心にしみ通ってゆきます。笠井叡さんの乱入にも関わらず、そのテンションは微塵も揺るぎません。凄い。これは、凄い。

 しみじみとした感動を、この6名をバックダンサーにして踊りまくる笠井叡さんの姿がぶち壊してくれるわけですが、まあ、これ、人類究極の夢ですよね。


[キャスト]

構成・演出・振付: 笠井叡
出演: 上村なおか、黒田育世、白河直子、寺田みさこ、森下真樹、山田せつ子、笠井叡


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