SSブログ

『DEDICATED 2014 OTHERS』(小野寺修二、中村恩恵) [ダンス]

 2014年10月26日は夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って、首藤康之さんと中村恩恵さんが共演する公演を鑑賞しました。

 DEDICATEDのシリーズで、今年のテーマは”OTHERS”、つまり他者。というわけで、自分の中に他者の人格が生ずる『Jekyll & Hyde(ジキル&ハイド)』と、他者のまなざしという地獄に苦しむ『Huis clos(出口なし)』という二本立てです。

 最初の『Jekyll & Hyde(ジキル&ハイド)』(原作:R.L.スティーブンソン)は2011年に初演された作品で、構成・演出は小野寺修二さん。首藤康之さんのソロダンスで、二つの人格に引き裂かれてゆく男の混乱を表現します。公演時間は40分。

 とにかく舞台道具の使い方が印象的で、特に最初から舞台上に置いてある大テーブル。薬品を調合する机だったのが、天板を持ち上げるとそれが大きな鏡になって、鏡像による二重人格を表現。枠を外すと二つの人格間をいったり来たりするゲートになり、最後は天井からワイヤーで釣られて首藤康之さんと一緒に「ダンス」したりと、まるで「共演者」のように大活躍。いかにもマイム出身の小野寺修二さんらしい演出でした。

 休憩後、二本目の『Huis clos(出口なし)』(原作:J.P.サルトル)は演劇風のダンス作品で、セリフも多用されます。首藤康之さんと中村恩恵さんに加えて、女優のりょうさんが出演。公演時間は50分。

 最初から最後まで室内で完結する密室心理劇で、三名の出演者による息苦しい愛憎劇が繰り広げられます。首藤康之さんと中村恩恵さんはダンスによる表現がメインとなるので、背景を説明したり物語を展開させたりといった仕事は、怜悧で酷薄な美女という役どころのりょうさんが担当します。

 ダンスシーンがそれほど多くなくて個人的には残念でしたが、それでも中村恩恵さんの動きは素晴らしくて感動しました。首藤康之さんと踊るときのバレエらしい動きはもとより、観客の視点が他の二人に集まっているシーンでも、所在なさげに歩いたり壁に手を触れたりする動作が、いちいち端正で雄弁でドラマチック。ダンサーの動きというのは、俳優のセリフに負けない表現力を持っていることを、まざまざと見せてくれました。


[キャスト]

『Jekyll & Hyde(ジキル&ハイド)』

構成・演出: 小野寺修二
出演: 首藤康之

『Huis clos(出口なし)』

構成・演出: 白井晃
出演: 首藤康之、中村恩恵、りょう


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0