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『樹皮ハンドブック』(林将之) [読書(教養)]

 「樹皮は一年中観察でき、最も観察しやすい部位でありながら、これまで樹皮の図鑑は見当たりませんでした。(中略)樹皮だけで多くの種類を言い当ててしまう“達人”がいるのも事実です。樹皮にも十分個性があるのです」(「はじめに」より)

 横筋、縦筋、網裂、斑剥。樹皮の形状を分類した上で、詳しい解説と写真を掲載した、樹皮を見て木の種類を判別するためのハンドブック。新書版(文一総合出版)出版は2006年10月です。

 アカマツ、クロマツ、スギ、ヒノキ、イチョウ、シラカバ、ブナ、クリ、カシワ、クヌギ、サクラ、ネムノキ。おなじみの樹木ですが、では葉や枝が落ちているとき、あるいは木材として切り出された状態で、これらの判別がつくかというと、これは難しそう。

 というわけで本書の出番です。樹皮を見て木の種類を判別するためのハンドブックです。

 「身近に見られる樹木や林業上重要な樹木を中心に、158種の樹皮を写真入りで紹介しています。樹皮という特性上、低木よりも高木を、常緑樹より落葉樹を優先的に取り上げました。(中略)1種につき原則3点の樹皮の写真を掲載し、葉の画像も掲載しました」(新書版p.6)

 一つ一つの樹木についての項目は、典型的な樹形、枝や葉のつき方、樹皮タイプ(横筋、平滑、縦筋、縦裂、網裂、斑剥)、名称と分類、樹皮写真3点、葉の画像、そして解説(樹皮の特徴、樹形の特徴、国内の分布、林業上の利用)という構成になっており、1ページに2項目が掲載されています。

 全ページフルカラー、80ページ弱の新書版で、どこでも持って歩けるよう、薄く軽く丈夫に作られています。

 樹木の写真というと、全体像が入るように、ある程度離れた距離から撮影されたものがほとんどですが、本書に掲載されているのは樹皮写真なので、接写というか、手が届く距離で幹を撮影したものばかり。その臨場感に驚かされます。

 また、樹皮に関する豆知識的な情報も収録されており、例えば「樹皮の変異」(樹齢、地衣類・藻類・菌類による変異、虫害や病害による変異など)に関する解説など興味深いものがあります。

 山歩きの際にポケットに入れておき、見かけた樹木と本署の解説を見比べて確認したくなる実用的な一冊です。


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