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『ASLEEP TO THE WORLD』(振付:中村恩恵) [ダンス]

 2013年03月10日は、夫婦で青山円形劇場に行って中村恩恵さんの新作公演を鑑賞しました。振付演出を担当した中村さん自身は踊らず、鈴木ユキオさんと平原慎太郎さんの二人が踊る舞台です。

 青山円形劇場での公演といえば、観客がぐるりと周囲を取り巻く円形舞台をどのように使うのかが見どころ。今回は、巨大な柱を斜めに建てて、舞台全体を日時計に見立てるという意表をついた演出が印象的です。

 このため舞台そのものが「時間」の象徴に感じられますし、また途中で照明の具合で柱の影が刀身に見えるときがあり、「死」の気配も漂っています。この日時計か刀か、何かそういうものの下で、二人がそれこそ斬り合いのように鋭く踊ります。

 それぞれ身体バランスや動きの特徴が大きく異なる二人のダンサーがシンクロして動く不思議さ。スローモーションのようにゆっくりと動いたかと思うと、ときに素早く姿勢を変えたり、二人の身体がコンタクトしそうでしなかったり、様々な動きが提示されます。

 どうやら二人の周囲には実在しないものが数多く転がっているらしく、見えない壁を手で触ったり、見えない足場を足でまたぎ越したり、見えない障害物を首を振って避けたり、何かの制限の中で踊っているようです。前述したように、舞台が時間やら死やらのイメージを連想させるので、否が応でも高まる緊張感。

 ダンスも良いのですが、緊張感を高める音楽が素晴らしい。濡れた砂袋を床に叩きつけるような重たいリズムの上に、すすり泣くような弦の響き。劇場が呪術的な空間になります。

 緊張をいったんほぐすためか、途中でMCというか二人のトークタイムが挿入されるのですが、この日は音響設備に不具合があったらしく、延長戦に。用意してあった話題が尽きて、困惑しつつ何とか場をしのごうとする二人。たぶん演出ではなくて本当のアクシデントだと思われます。何だか得した気分です。

 ときどき、ちらっとダンサーの視線がこちらに来るような気がして、え、なに、もしかしてタカラヅカ現象とかいう錯覚ですか、と思っていたら、終演後の舞台挨拶のとき、私たちの数席後ろに中村恩恵さんが座っていたことが判明。

[キャスト]

振付: 中村恩恵
共同振付・出演: 鈴木ユキオ、平原慎太郎
音楽・演奏: 内橋和久


タグ:中村恩恵
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