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『DESH デッシュ』(アクラム・カーン) [ダンス]

 「僕にとっては、この複雑な身体こそが“母国”であり“アイデンティティ”だから」(アクラム・カーン)

 2013年01月27日(日)は、夫婦でさいたま芸術劇場に行って、アクラム・カーンの公演を鑑賞しました。アクラム・カーンが一人で何役も踊るソロダンス公演。バングラディッシュ系英国人としての自らのアイデンティティを問う半自伝的な作品です。

 まず目を奪われるのは、洗練された映像とライブアクションを見事に同期させるシーンの数々。絵本のような線画で描かれたバングラディッシュの森の中をアクラムが彷徨う場面はひときわ記憶に残ります。

 また、ラスト近くで天井から釣り下がってくる何重もの布、巨大な白い椅子、戦闘機のエンジンなど、舞台美術も非常に印象的。

 視覚効果のセンスには大いに感銘を受けました。後から確認したら、映像だけでなく舞台美術から衣裳まで、ジョン・ウーやアン・リーの映画で高名なティム・イップが担当していることを知って納得。舞台が映画的に感じられたのも無理はありません。

 そしてアクラム・カーンのダンスがまた凄い。 公演時間80分の間、ほとんど出づっぱり踊りっぱなし。インドの古典舞踊とコンテンポラリーダンスを融合させた驚異的な動き。彼が旋回するだけで、そこはもう異空間。動きのキレは尋常ではなく、途中で戯れのように挿入されるカンフーのシーンですら、これがもうシビれて。

 ダンス、映像、美術、音楽が、高いレベルでまさしく完璧に組み合わさった舞台で、バングラディッシュから英国に移住した父とその息子の感動的な物語が展開してゆく様は、もう感涙です。ラストに近づくにつれて、じじーんときた。

[キャスト]

演出・振付・出演: アクラム・カーン
舞台美術・衣裳・映像: ティム・イップ
音楽: ジョスリン・プーク


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