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『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』(リチャード・ドーキンス) [読書(サイエンス)]

 「奇跡、魔法、そして神話。どれも楽しいし、この本でも楽しんできた。誰でもおもしろい話は好きだ。大部分の章で最初に取り上げてきた神話を、あなたも楽しんでくれたと思う。しかし、すべての章で神話のあとの科学を楽しんでくれたなら、私としてはもっとうれしい。真実には真実のマジックがあることに、あなたも賛成してくれるだろう」(単行本p.264)

 進化論で有名なリチャード・ドーキンス博士による、一般読者向けの科学の教科書。単行本(早川書房)出版は、2012年12月です。

 天文学から生物学まで、科学の基礎について分かりやすく解説してくれるオールカラーの大型本です。基本的に中学から高校で学ぶ内容となっているので、学習参考書としても役立つでしょう。

 まず何といっても目をひくのが、すべてのページに載っている美麗イラスト。DNAについて、太陽系について、原子構造について、スペクトルについて、デイヴ・マッキーン氏の手による美しいカラーイラストにより視覚的に理解することが出来ます。ぱっと見、画集のよう。

 全12章は、それぞれ科学哲学、化学、天文学、光学、地学、そしてもちろん生物学を扱っています。各章のタイトルは「なぜ夜と昼があり、冬と夏があるのだろうか?」といった問いかけになっており、章の冒頭でその疑問に関する世界各地の神話が紹介され、続いて現代科学が明らかにした事実を解説してゆく、という構成になっています。

 解説は子供でも読めるように平易に書かれています。教科書としては異例ですが、自分が知らないことは「知らない」と明言してしまうところが面白い。

 「しかしそれについて、この本では語らない。あなたには理解できないと思うからではない。私が理解してないとわかっているからだ!」(単行本p.91)

 「その理由を物理学者は理解しているが、私は理解していない。なぜなら私は生物学者であり、量子論を理解していないからだ」(単行本p.171)

 ですから、この本には量子論も相対性理論も素粒子論も登場しません。さらに、親しみを感じてもらうためか、ときどき話題が脱線したりするのも楽しい。

 「オリジナルの『ピンク・パンサー』を見るようにしよう。あとから次々生まれた『ピンク・パンサーの息子』とか『ピンク・パンサーの復讐』など、同じようなタイトルの二流の作品ではなく」(単行本p.237)

 全体を通じてドーキング博士が強く訴えているのは、安易に超自然現象やオカルト的な説明を信じるのは止めましょうということ。科学は、神話や迷信やオカルトよりもずっと有益で、魅力的で、しかもずっと大きな感動を与えてくれるということ。

 「いまだに深い謎はたくさんあり、私たちの宇宙のような広大な宇宙の秘密がすべて明らかになることはありそうもない。しかし、私たちは科学を武器に、少なくとも賢明で有意義な疑問を投げかけ、信頼できる答えが見つかったときには、そうだと認識できる。むやみに怪しげな物語を考え出す必要はない」(単行本p.202)

 というわけで、ぱらぱらめくっているだけでも心浮き立つ科学の教科書、そして科学啓蒙書です。基本的には図書館に置かれる本ですが、中学生から高校生くらいの若者へのプレゼントとしてもお勧めです。


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