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『SFマガジン2013年1月号  日本SF作家クラブ創立50周年記念特集』 [読書(SF)]

 SFマガジン2013年1月号は「日本SF作家クラブ創立50周年記念特集」ということで、ここ半世紀における日本SFの歩みを振り返るとともに、日本作家の読み切り短篇二篇を掲載してくれました。

 『カメリ、ツリーに飾られる』(北野勇作)。「よおし、こうなったらおれたちもひとつ、飾られてみるかっ」。おなじみキュートなレプリカメのカメリが活躍するシリーズ最新作。

 トンネル効果がインフレーションして量子バブルが膨れてクリスマスというのが来るという噂を聞いて、早めにカフェを閉めて見物に出かけるカメリと仲間たち。ヒトデナシの群衆で大混雑する街。やがてヒトデナシたちが集まって巨大なクリスマスツリーが・・・。ほわほわ楽しい、心温まるクリスマスストーリーです。いや本当です。

 『ミサイル畑』(草上仁)。「核爆弾を搭載するミツバチ。レーザーを放射する蜘蛛、ワープで飛ぶちょうちょなんか」「そんなのがいたら、とても入植できなかっただろうね」「もっともだ」。

 生物工学が異常に発達し、電子機器から飛行機まで何でも畑で収穫できるようになった時代。ロケットナスビやクルミ防弾殻などの軍事兵器も農作物だが、とにかく値崩れが激しく、すぐに採算があわなくなるのが兵器会社にとっては頭痛のタネ。期限内に新しく兵器転用可能な生物資源を見つけなければクビだと脅された研究員と相棒が、苦心の果てに見つけた解決策とは。

 軽快なアイデアストーリー。フレドリック・ブラウンのSF短篇などを思い出させます。次々と小ネタを繰り出して笑わせながら、しっかり伏線を張り、しっかりとしたオチに持ってゆくところなど、いかにも職人技という安心感。大いに楽しめます。

[掲載作品]

『カメリ、ツリーに飾られる』(北野勇作)
『ミサイル畑』(草上仁)


タグ:SFマガジン
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