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『LOVE FIRE』(ヤスミン・ゴデール) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年10月06日(土)は、夫婦でスパイラルホールに行ってイスラエルの著名コレオグラファ、ヤスミン・ゴデールの2009年作品を観てきました。

ヤスミン自身も踊るデュオ作品(乱入者あり)です。踊っているヤスミンを観たのは初めてですが、何といってもまずそのチャーミングさにびっくり。いたずらっぽい表情、葛藤の表情、とても魅力的で、ぐぐっと引き込まれます。

 まずは陽気なシュトラウスのワルツで踊る男性ダンサー。軽妙で楽しそうな動きなのに、表情や仕草からは悲痛なものが伝わってきます。続いて陰気なシベリウスのワルツで踊るヤスミン。こちらの動きは悲嘆にくれているのに、表情や仕草からは激しい情熱が感じられる。

 こんな風に、ダンスが訴えかけてくるものと、表情や仕草あるいは状況から読み取れるものがずれてくる、溝がある、そのために内面の葛藤や矛盾が生々しく伝ってきて、深い感動を生む。この感覚、ちょっと忘れられないほどのインパクトがあります。

 有名なワルツが流れるなか、ときに無音の静寂を背景に、情熱、高揚感、葛藤、切なさ、苦悩、など様々な愛の側面が踊られます。一つ一つ順番に、あるいはストーリーに沿って表現してゆくのではなく、複数の矛盾する感情を同時に表出せしめるところが凄い。高揚しながら絶望する愛、激しく求めながら傷つけあう愛、盛り上がりながら落胆する愛。

 小道具の使い方はユーモラスで、例えば動物の巨大な遺体(ぬいぐるみ)の腹をかっさばいて内蔵(布切れ)を取り出して並べたり、男性ダンサーがその遺体をかぶってヤスミンがその動物の背(男性ダンサーの肩)にまたがって乗馬ごっこで盛り上がったり。

 最後の方で白煙と共にゲストパフォーマーが乱入し、蛍光管で構築された光るオブジェがどどーっと出てくる。この展開には意表をつかれました。予想外だった。

 というわけで、これまでわずか数作しか観てないヤスミン作品ですが、どれもこれも後々まで尾を引くほど印象が強く、もっと観たい、という気持ちがかきたてられます。

[キャスト]

振付: ヤスミン・ゴデール
出演: Yasmeen Godder、Matan Zamir
ゲストパフォーマー・ライブインスタレーション: Yochai Matos


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