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『検証 予言はどこまで当たるのか』(ASIOS、菊池聡、山津寿丸) [読書(オカルト)]

 「未来の出来事についての「情報」を知り、自分や世界の将来をコントロールしたいと考えるのは、間違いなく人の基本的な動機づけの一つである。そして、この動機づけは予言を信じる心だけでなく、人が科学的な探求に取り組む原動力となり、科学と知識の進歩をもたらしたものでもある」(単行本p.179)

 ASIOS (Association for Skeptical Investigation of Supernatural : 超常現象の懐疑的調査のための会)の検証シリーズ最新作。今回は、古今東西の予言者や予言書を取り上げ、本当に予言はなされたのか、はたして的中したのか、本当に予知能力が発揮されたのか、徹底的に検証します。単行本(文芸社)出版は、2012年10月です。

 検討対象となっているのは、マヤ歴の予言、大ピラミッドの予言、未来人ジョン・タイター、ノストラダムス、エドガー・ケイシー、ジーン・ディクソン、出口王仁三郎、聖徳太子、伯家神道、をのこ草紙、ヨハネの黙示録、聖書の暗号、ファティマの予言、そして予言としてのUFO現象など。壮観です。

 まず特筆したいのは、外部寄稿者である山津寿丸さんと菊池聡さん。両名とも目を見張るような立派な仕事をなさっています。

 山津寿丸さんのノストラダムス現象研究レポート。その圧倒的な情報量にはもう大興奮。有名な予言詩を専門家はどう解釈しているのか。時代背景から考える執筆の経緯や動機。後の時代のビリーバーたちによる脚色を一つ一つ丁寧に剥いでゆき、当時の優れた知識人ノストラダムスの実像に迫ってゆくその筆致には感服させられます。

 そして菊池聡さんの「予言の心理学-人は無知や愚さから信じるのではない」も素晴らしい。ビリーバーの方々を軽んじたり揶揄したりすることなく一定の敬意を払いながら、それがある種の合理性から来ているものであり、科学を志向する精神と同根といってもよい、と論じる姿勢には蒙を啓かれる思いです。

 検証や批判はともかく、ビリーバーを見下す態度、あるいは侮蔑する気持ち、そういったものがにじみ出ている本は不快に感じられることも多いので、こういった他者に対する敬意を失わない(むろんそれは主張内容に迎合するという意味ではない)文章を読むと、ほっとするのです。

 30ページをこえる力作「こんなにあった! 当たらなかった世界滅亡・大異変予言オンパレード(外れたときの言い訳つき)」(山本弘)はエキサイティング。ここ2000年くらいの間に次から次へと提示された主な終末予言をリスト化して解説したもので、誰だってこれを読めば「20XX年に大異変が起こる/人類滅亡」といった類の予言を信じる気にはならないだろう・・・、といいたいところですが。

 「こうした多数の先例から、人は何も学ばない」(単行本p.256)

 この予言は当たるに違いありません。

 他に、「伯家神道の予言」や「をのこ草紙」の調査レポートはその周到な仕事ぶりに驚かされますし、エドガー・ケイシーが予言したアトランティス遺跡(とされるもの)を発見したパイロットたちは、実はケイシーの支援団体の会員だった、などという個人的に初めて知った情報にはびっくり。未来から来たタイムトラベラーだというジョン・タイター氏の正体がほぼ判明している、というのにも驚かされました。

 たとえそれが予言の検証本であっても、ためらうことなくUFOについて熱く語ってしまう「UFOと予言「少しだけ先の未来」」(秋月朗芳)の浮きっぷりも印象的。社会的・文化的現象としてのUFO、という話題については、日本ではあまり知られてない海外の研究成果もいっぱいありそうですし、一冊まるごとこのテーマで本を出してもらえたりするとすごく嬉しいのですが。


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