SSブログ

『呼吸 -透明の力-』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 昨日(2012年08月26日)は、夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って勅使川原三郎さんの新作公演を鑑賞してきました。大道具なし照明効果のみの簡素な舞台で、勅使川原三郎さんが主催する勉強会やワークショップの参加者たちがダンスメソッドを学ぶ様を、そのまま作品に取り入れたという実験的作品です。

 まず照明効果が魔術的。暗闇のなか、五線譜のような光の筋や円が舞台床に投影され、それだけでいとも簡単に遠近感が狂い、空間把握が混乱して奥行きと高さの違いが分からなくなります。ダンサーの位置関係や移動の軌跡がうまく把握できなくなり、まるで異空間に放り込まれたような感覚。過去に観た公演でいうと、『サブロ・フラグメンツ』を連想しました。

 こんな舞踊魔術空間で、勅使川原三郎さんの解像度の高い緻密な動き、佐東利穂子さんの超高速で空気に溶け流れるダンスが交互に踊られ、観客はぐいぐい引き込まれてゆきます。

 やがて、舞台上には勉強会やワークショップの参加者が登場し、呼吸法を軸としたダンスメソッドの実践が行われます。というか、その様子をそのまま作品として観客に見せてくれるわけです。ときどきユーモラスな寸劇めいたやりとりなども混ぜながら、若手ダンサーたちが呼吸や基本動作を繰り返すその様子が、不思議な感動を呼びます。

 総勢30名近い出演者が登場するという規模の大きい公演であるにも関わらず、静謐な暗闇のなか呼吸音が静かに聞こえていた、という印象が強い緊張感の高い舞台でした。

[キャスト]

勅使川原三郎
佐東利穂子

川村美恵、ジイフ、鰐川枝里、加見理一、高木花文、山本奈々、加藤梨花、林誠太郎、
勉強会参加者、ワークショップ受講生たち


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0