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『Kingdom Denied ~失われた王国~』(アカデミー・オブ・ハワイアンアーツ ジャパン・ツアー2012、振付・演出:マーク・ケアリイ・ホオマル) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年06月24日(日)、ゆうぽうとホールにて、マーク・ケアリイ・ホオマル率いるアカデミー・オブ・ハワイアンアーツの新作公演を鑑賞してきました。

 『失われた王国』と題された本作品は、19世紀末のハワイ王国滅亡(米国によるハワイ併合)をテーマとした歴史ミュージカル。新聞売り子の掛け声や歴史的な演説を除いてセリフは一切なく、文字情報も舞台背景に投影される当時の新聞記事だけ。ほとんどすべてがフラで表現されます。

 私はこれまでフラの舞台を観たことがなく、フラというと「波のうねりのように、ゆるやかで、穏やかで、心地よい民族舞踊」というイメージだったのですが、そういう思い込みを粉々に打ち砕いてくれる衝撃的な舞台です。

 悲嘆、歓喜、興奮、楽しさ、様々な感情がフラの群舞で表されますが、何といっても印象に残るのは怒りと暴力の表現。暴動鎮圧、ハワイ事変、民衆大虐殺のシーンになると、ダンサーたちは激しく棒を打ち鳴らし、音高く舞台を踏みしめ、身体を旋回させ、宙を切る鋭い手の動きで憤激を表現。いっぽう兵士たちは、機械のように正確な発砲のフラを踊り続け、照明が舞台を真っ赤に染めてゆく。

 まさに圧倒的な迫力。フラがこれほどまでに雄弁で力強いダンスだったとは。

 二時間ほどの公演ですが、退屈な場面はなく、いずれのシーンでも過剰なまでに豊かな感情が伝わってくる活き活きとした舞台です。ダンサーが観客席の間を走り回り、ハイタッチや抱擁で観客との一体感を作り上げてゆくのも見事。最後は拍手と歓声が飛び交い、会場全体がお祭り騒ぎのようになりました。

 とにかくフラのイメージが大きく変わった体験でした。ダンスに先入観は禁物だとつくづく思い知らされました。今後はフラ公演をなるべく多く観ることにします。


タグ:フラ
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