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『Stand Alone Zone スタンド・アローン・ゾーン』(マルシア・バルセロス振付、システム カスタフィオール) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年06月23日(土)、彩の国さいたま芸術劇場にて、フランスを拠点に活動している「システム カスタフィオール」の初来日公演を鑑賞してきました。巨大な背景スクリーンに投影されたリアルなCGI映像と、舞台上のライブアクションがコラボレーションすることで、摩訶不思議な世界を現出させるという趣向です。

 人類の多くが空中都市に住んでいる遠未来。病気の子どもの治療薬を求めて両親が地表に降り、軍が封鎖している「ゾーン」と呼ばれる危険区域に侵入する。そして奇怪な部屋を次々と通り抜け、ついに中核部に到達。というような神話的な物語が展開します。といっても話はほとんど付け足しのようなもので、狙いは映像とダンスで舞台上に異世界を構築することでしょう。

 空中都市の風景や、地表の建物、グロテスクな生物などを緻密に描いた実写風CGI動画が舞台背景となる巨大スクリーンに投影され、出演者はその一部となって踊ります。

 出演者はわずか四名ですが、場面が転換する毎に別々の登場人物に扮して現れるのと、背景映像に映っているキャラクターがリアルなので、もっと大勢の出演者がいたような錯覚を覚えます。

 ときどき出演者の背後にいる人物が映像なのか実物なのか分からなくなる瞬間があったり、映像の中にいたはずの人物や動物が舞台上に実物として現れたり、その茶目っ気たっぷりの演出が微笑ましい。

 映像空間と実空間を行き来する動物の着ぐるみの出来は素晴らしく、特に鳥頭医者のいかにも鳥類らしい首の動き、着ぐるみのくせに瞬きする大きな目など、実に印象的でした。

 数名の出演者がわけの分からない言葉に合わせて滑稽な動きを延々と続ける冒頭(個人的にお気に入り)。降下するエレベータを上から撮った映像を背景に、舞台上に垂直に立てた「エレベータの床」に出演者たちが水平になって「立って」いるシーン。兵士たちの知能指数ものすごく低そうな軍事教練。そして横に流れる映像の前で宙吊りになって「走って」みせる出演者など、笑って下さいというベタな演出が多いのですが、日本の観客はみんな静まり返っていて、ちょっとお気の毒。

 ダンスや振付それ自体はとがったものではなく、むしろ道化師同士のかけあいマイムのようです。ダンス公演というより、サーカスの出し物を洗練させたような舞台でした。


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