『不思議の国のアリス』(クリストファー・ウィールドン振付)、『スケートをする人々』(フレデリック・アシュトン振付)、『ピーターとおおかみ』(マシュー・ハート振付) [映像(バレエ)]
6月4日の午前0時から午前4時まで、NHK BS プレミアムシアターにて、英国ロイヤルバレエ団の舞台映像3本が放映され、録画しておいて鑑賞しました。
まず最初は、クリストファー・ウィールドン振付作品『不思議の国のアリス』。
クリストファー・ウィールドンといえば、第38回(2010年)および第39回(2011年)のローザンヌ国際バレエコンクールで、キャシー・マーストンと並んでコンテンポラリー課題作品を提供したコレオグラファ。課題作品である『コメディア』、『ポリフォニア』、『ゼア・ホエア・シー・ラヴド』、『コンティヌウム』をコンクールの映像で何度も観たわけですが、躍動的で、ユーモラスな雰囲気もあり、好感が持てます。
そのクリストファー・ウィールドンの全幕作品ということで大きな話題となったのが、この『不思議の国のアリス』。全二幕、上演時間2時間ほどの作品で、派手な大道具や映像効果もふんだんに駆使して、活き活きとした楽しい舞台となっています。
全体的な流れは『くるみ割り人形』をなぞりつつ、踊りもクラシックバレエ風。いわゆる「アラブの踊り(コーヒー)」がイモムシになったり、『眠れる森の美女』の有名なローズ・アダージョがドタバタコメディになってたり(後述)、パロディも豊富。
特筆すべきは、ハートの女王(赤の女王)を踊ったゼナイダ・ヤノフスキー。ひたすら怒り暴れる役ですが、そのお馬鹿な立ち回りを支える超絶テクニックと正確でスケールの大きなダンスは衝撃的なほど。
特に、首切りローズ・アダージョのシーンは印象に残ります。「わがままな女王のサポートに失敗すれば即座に首を切られるので、戦々恐々としている兵士たち」とのローズ・アダージョという、原典をひっくり返したような設定だけでも可笑しいのですが、それを「わがままなプリンシパルのサポートに失敗すれば即座に首にされるので、戦々恐々としている男性ダンサーたち」とのローズ・アダージョ、に重ねちゃう仕掛け、皮肉で素晴らしい。笑えます。
2003年のローザンヌ国際バレエコンクールで何とタップダンスを踊って入賞し大きな話題となったスティーヴン・マックレー。彼に、マッドハッター役でタップダンスを踊らせる、という趣向も素敵です。とにかくマックレーはカッコいい。勢いも、華もあり、若いのに風格すら感じられるようになっていて、今やいつまでも観ていたいダンサーの一人です。
他に、獅子舞というか香港のお祭りで練り歩くドラゴンというか、超巨大チェシャ猫が登場して舞台狭しと飛び回るシーンもお気に入り。
高田茜、崔由姫、小林ひかる、蔵健太、といった面々も、群舞などできっちり出演していて、嬉しかった。
次に放映されたのは、フレデリック・アシュトン振付作品『スケートをする人々』。
これは以前に市販映像で観たのと同じものでした。詳しくは2012年03月22日の日記を参照して下さい。要点は、つま先立ちでひょこひょこ歩き、くるくるっと綺麗に旋回する高田茜さんがとってもキュート、スティーヴン・マックレーはやっぱかっこいい、ほれぼれ見とれてしまう、ということ。
最後は、マシュー・ハート振付作品『ピーターとおおかみ』。
ロイヤルバレエ学校の生徒さんが多数出演する子ども向け作品ですが、前述の『不思議の国のアリス』でジャック(アリスの恋人)を踊っていたセルゲイ・ポルーニンがオオカミを踊っていて迫力満点でした。草や水などの色彩が美しい。
NHK BS プレミアムシアター
6月4日(月)【3日(日)深夜】午前0時~午前4時
英国ロイヤル・バレエ公演
バレエ『不思議の国のアリス』全2幕
[振付]
クリストファー・ウィールドン
[出演]
アリス:ローレン・カスバートソン
ジャック/ハートのジャック:セルゲイ・ポルーニン
ルイス・キャロル/白ウサギ:エドワード・ワトソン
アリスの母親/ハートの女王:ゼナイダ・ヤノフスキー
アリスの父親/ハートのキング:クリストファー・サウンダース
マジシャン/マッドハッター:スティーヴン・マックレー
公爵夫人:サイモン・ラッセル・ビール
英国ロイヤル・バレエ団
[音楽]
ジョビー・タルボット作曲
バリー・ワーズワース指揮、コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
[美術]
ボブ・クロウリー
[照明]
ナターシャ・カッツ
[収録]
2011年3月9日。コヴェントガーデン王立歌劇場(ロンドン)
英国ロイヤル・バレエ公演
バレエ『スケートをする人々』
[振付]
フレデリック・アシュトン
[出演]
ブルー・ボーイ:スティーヴン・マックレー
ブルー・ガール:サマンサ・レイン、高田 茜(たかだ あかね)
ホワイト・カップル:サラ・ラム、ルパート・ペネファーザー
2人の少女:フランチェスカ・フィルピ、サイアン・マーフィー
英国ロイヤル・バレエ団
[音楽]
ジャコモ・マイヤベーア(歌劇『予言者』から)
コンスタント・ランバート編曲
ポール・マーフィー指揮、ロイヤル・バレエ・シンフォニア
[美術・衣装]
ウィリアム・チャペル
[照明]
ジョン・B・リード
[収録]
2010年12月20日、23日。コヴェントガーデン王立歌劇場(ロンドン)
英国ロイヤル・バレエ学校公演
バレエ『ピーターとおおかみ』
[振付]
マシュー・ハート
[出演]
おおかみ:セルゲイ・ポルーニン
おじいさん/ナレーター:ウィル・ケンプ
ピーター:キリアン・スミス
あひる:シャーロット・エドモンズ
小鳥:ラウリーネ・ムッチョーリ
猫:カツラ・チサト
ロイヤル・バレエ学校の生徒たち
[音楽]
セルゲイ・プロコフィエフ
ポール・マーフィー指揮、ロイヤル・バレエ・シンフォニア
[美術・衣装]
イアン・スパーリング
[照明]
ジョン・B・リード
[日本語版字幕]
斉藤直樹
[収録]
2010年12月16日、18日。コヴェントガーデン王立歌劇場(ロンドン)
まず最初は、クリストファー・ウィールドン振付作品『不思議の国のアリス』。
クリストファー・ウィールドンといえば、第38回(2010年)および第39回(2011年)のローザンヌ国際バレエコンクールで、キャシー・マーストンと並んでコンテンポラリー課題作品を提供したコレオグラファ。課題作品である『コメディア』、『ポリフォニア』、『ゼア・ホエア・シー・ラヴド』、『コンティヌウム』をコンクールの映像で何度も観たわけですが、躍動的で、ユーモラスな雰囲気もあり、好感が持てます。
そのクリストファー・ウィールドンの全幕作品ということで大きな話題となったのが、この『不思議の国のアリス』。全二幕、上演時間2時間ほどの作品で、派手な大道具や映像効果もふんだんに駆使して、活き活きとした楽しい舞台となっています。
全体的な流れは『くるみ割り人形』をなぞりつつ、踊りもクラシックバレエ風。いわゆる「アラブの踊り(コーヒー)」がイモムシになったり、『眠れる森の美女』の有名なローズ・アダージョがドタバタコメディになってたり(後述)、パロディも豊富。
特筆すべきは、ハートの女王(赤の女王)を踊ったゼナイダ・ヤノフスキー。ひたすら怒り暴れる役ですが、そのお馬鹿な立ち回りを支える超絶テクニックと正確でスケールの大きなダンスは衝撃的なほど。
特に、首切りローズ・アダージョのシーンは印象に残ります。「わがままな女王のサポートに失敗すれば即座に首を切られるので、戦々恐々としている兵士たち」とのローズ・アダージョという、原典をひっくり返したような設定だけでも可笑しいのですが、それを「わがままなプリンシパルのサポートに失敗すれば即座に首にされるので、戦々恐々としている男性ダンサーたち」とのローズ・アダージョ、に重ねちゃう仕掛け、皮肉で素晴らしい。笑えます。
2003年のローザンヌ国際バレエコンクールで何とタップダンスを踊って入賞し大きな話題となったスティーヴン・マックレー。彼に、マッドハッター役でタップダンスを踊らせる、という趣向も素敵です。とにかくマックレーはカッコいい。勢いも、華もあり、若いのに風格すら感じられるようになっていて、今やいつまでも観ていたいダンサーの一人です。
他に、獅子舞というか香港のお祭りで練り歩くドラゴンというか、超巨大チェシャ猫が登場して舞台狭しと飛び回るシーンもお気に入り。
高田茜、崔由姫、小林ひかる、蔵健太、といった面々も、群舞などできっちり出演していて、嬉しかった。
次に放映されたのは、フレデリック・アシュトン振付作品『スケートをする人々』。
これは以前に市販映像で観たのと同じものでした。詳しくは2012年03月22日の日記を参照して下さい。要点は、つま先立ちでひょこひょこ歩き、くるくるっと綺麗に旋回する高田茜さんがとってもキュート、スティーヴン・マックレーはやっぱかっこいい、ほれぼれ見とれてしまう、ということ。
最後は、マシュー・ハート振付作品『ピーターとおおかみ』。
ロイヤルバレエ学校の生徒さんが多数出演する子ども向け作品ですが、前述の『不思議の国のアリス』でジャック(アリスの恋人)を踊っていたセルゲイ・ポルーニンがオオカミを踊っていて迫力満点でした。草や水などの色彩が美しい。
NHK BS プレミアムシアター
6月4日(月)【3日(日)深夜】午前0時~午前4時
英国ロイヤル・バレエ公演
バレエ『不思議の国のアリス』全2幕
[振付]
クリストファー・ウィールドン
[出演]
アリス:ローレン・カスバートソン
ジャック/ハートのジャック:セルゲイ・ポルーニン
ルイス・キャロル/白ウサギ:エドワード・ワトソン
アリスの母親/ハートの女王:ゼナイダ・ヤノフスキー
アリスの父親/ハートのキング:クリストファー・サウンダース
マジシャン/マッドハッター:スティーヴン・マックレー
公爵夫人:サイモン・ラッセル・ビール
英国ロイヤル・バレエ団
[音楽]
ジョビー・タルボット作曲
バリー・ワーズワース指揮、コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
[美術]
ボブ・クロウリー
[照明]
ナターシャ・カッツ
[収録]
2011年3月9日。コヴェントガーデン王立歌劇場(ロンドン)
英国ロイヤル・バレエ公演
バレエ『スケートをする人々』
[振付]
フレデリック・アシュトン
[出演]
ブルー・ボーイ:スティーヴン・マックレー
ブルー・ガール:サマンサ・レイン、高田 茜(たかだ あかね)
ホワイト・カップル:サラ・ラム、ルパート・ペネファーザー
2人の少女:フランチェスカ・フィルピ、サイアン・マーフィー
英国ロイヤル・バレエ団
[音楽]
ジャコモ・マイヤベーア(歌劇『予言者』から)
コンスタント・ランバート編曲
ポール・マーフィー指揮、ロイヤル・バレエ・シンフォニア
[美術・衣装]
ウィリアム・チャペル
[照明]
ジョン・B・リード
[収録]
2010年12月20日、23日。コヴェントガーデン王立歌劇場(ロンドン)
英国ロイヤル・バレエ学校公演
バレエ『ピーターとおおかみ』
[振付]
マシュー・ハート
[出演]
おおかみ:セルゲイ・ポルーニン
おじいさん/ナレーター:ウィル・ケンプ
ピーター:キリアン・スミス
あひる:シャーロット・エドモンズ
小鳥:ラウリーネ・ムッチョーリ
猫:カツラ・チサト
ロイヤル・バレエ学校の生徒たち
[音楽]
セルゲイ・プロコフィエフ
ポール・マーフィー指揮、ロイヤル・バレエ・シンフォニア
[美術・衣装]
イアン・スパーリング
[照明]
ジョン・B・リード
[日本語版字幕]
斉藤直樹
[収録]
2010年12月16日、18日。コヴェントガーデン王立歌劇場(ロンドン)
タグ:英国ロイヤルバレエ
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