SSブログ

『テヅカ TeZukA』(振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 一昨日(2012年02月26日)は、夫婦でbunkamura オーチャードホールに行って、シディ・ラルビ・シェルカウイの新作公演を観てきました。

 『ゼロ度』や『アポクリフ』といった、ダンスを軸に様々な表現を組み合わせることでスケールの大きな舞台を作り、来日公演の度に話題となる世界的コリオグラファ、シディ・ラルビ・シェルカウイ。待望の新作公演は、何と手塚治虫をテーマとしたというから驚きです。

 舞台上には鉄腕アトムやブラックジャック、しまいにはマグマ大使まで登場しますが、もちろん手塚作品を演劇にしたわけではありません。あくまでコンテンポラリーダンス公演です。

 あるときは舞台を覆う垂れ幕に、またあるときは舞台のあちこちに垂れ下がった掛け軸のようなスクリーンに、手塚治虫の漫画が投影されます。CGI処理により、コマがバラバラに跳び交い、漫符やオノマトペが躍動し、絵や文字が溶けて流れたり。上田大樹さんが創造したこの映像の、きらめくセンスにまず驚かされます。そのセンスの良い映像が役者やダンサーによるライブアクションと同期することで、舞台上に動画が構築されてゆくのです。

 また照明が舞台の床に光の「コマ」を作り、ダンサーたちがその中で踊ります。ダンサー達はひらりひらり「コマ」から「コマ」へと移動し、その様はまるで漫画の登場人物たちが生命を得て原稿用紙の上で活劇を繰り広げているかのよう。私たち夫婦は舞台を見下ろす三階席から鑑賞したので、ウィリー・セッサさんの照明が舞台を「動く立体漫画」に変えてゆく様をはっきり見ることが出来て幸運でした。

 さらに読経や雅楽や子守歌、鉄腕アトムのテーマなどを素材に、日本の音楽と西洋音楽との融合を狙ったと思しき二ティン・ソーニーさんの音楽(ライブ演奏)がまた素晴らしい。

 これらの要素を素材にして、さらには少林寺拳法の演舞から書道家の筆さばきまで取り入れて、一つのダンス作品に仕上げて見せる。投影された漫画、照明、ダンサー、役者、武僧、書道、音楽、全てがシェルカウイの「振付」にしたがって踊り、舞い、相互に絡んでゆく。その豪腕というべき構成力には圧倒されます。

 途中休憩20分を挟んだ2時間を超える大作ですが、様々な仕掛けをこらした舞台で、退屈はしませんでした。ただ、単純に狭義のダンスだけ取り出して観ると、シェルカウイ作品にしてはいまひとつかなという気もして、そこは残念でした。

『テヅカ TeZukA』
2012年02月26日、bunkamura オーチャードホール

振付: シディ・ラルビ・シェルカウイ
美術・照明: ウィリー・セッサ
映像: 上田大樹
衣裳: サッシャ・コヴァチェビック
音楽: 二ティン・ソーニー
出演: 森山未來、ヨン・フィリップ・ファシストロム、ダミアン・ジャレ、上月一臣、大植真太郎、ダニエル・プロイエット、ギュロ・スキア・ナーゲルフス、ヘルダー・シーブラ、ヴェヴョン・サンドビー

中国河南省嵩山少林寺武僧: 黄 家好、李波
書道家: 鈴木稲水
演奏: 堀つばさ、ウー・ジェー・パク、オルガ・ヴォイチェホヴスカ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0