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『偉大なるコレオグラファー、ジョン・クランコ』(ジョン・クランコ振付) [映像(バレエ)]

 50~60年代に活躍し、シュトゥットガルト・バレエを世界的バレエ団に育て上げた伝説的なコレオグラファー、ジョン・クランコのバレエ作品『淑女と道化』、『パイナップル・ポール』の二本を収録したDVD。

 先日観たドキュメンタリーフィルム『Forgotten Memories』のなかで、イリ・キリアンが、師であるジョン・クランコのことを熱く語っていたのが印象的でした(2011年12月13日の日記参照)。

 他にも、ジョン・ノイマイヤーやウィリアム・フォーサイスなど、現代を代表するコレオグラファー達がクランコを師とあおいでいるそうで、その功績ははかり知れません。

 調べてみたところ、そのジョン・クランコの作品が市販映像化されていたので、この機会にと思って観てみました。BBCが制作したTV放映版です。

 最初の一本は『淑女と道化』(The Lady and the fool)。1959年5月3日に放映された映像です。

 舞踏会の会場へと急ぐ仮面の貴婦人。寒さに震えていた貧しい道化師たちをたまたま見かけた彼女は、彼らを舞踏会へ招待する。舞踏会で踊った後、王子、大金持ち、軍人という三人の男性から求婚されたものの、彼女は誰にも素顔を見せようとしない。

 一人きりになったとき、彼女は静かに仮面を外す。それまでの高慢な印象は消え失せ、その美しくも寂しそうな顔があらわになる。それを見ていた道化師は、彼女をなぐさめようとするのだが・・・。

 全体的に、古典バレエ『眠れる森の美女』のパロディになっていて、例えば有名なローズ・アダージョのシーンなどほとんどそのまま使っていたりします。ただし現代バレエですから、「真実の愛」とやらを得たからといって、それでめでたしめでたしというわけにはゆきません。

 舞踏会のシーケンスは豪華でしかもユーモラス、皮肉もきいていて、心に残る作品です。さり気なくピーター・ライトが登場していて(尊大な王子様)びっくり。

 もう一本は、『パイナップル・ポール』(Pineapple Poll)。1959年11月1日に放映された映像です。

 こちらは純然たるコメディ。『オン・ザ・タウン』(『踊る大紐育』)みたいな感じです。軍艦が港に到着し、水兵たちが上陸するや、恋人たちが駆け寄ってきて港は大賑わい。花売り娘のパイナップル・ポールの目当ては船長だが、彼はモテモテでいつも女性が群がるため、近寄ることすら難しい。

 水兵の制服を手に入れたパイナップルは、闇に紛れてこっそり軍艦に忍び込む。水兵に混じって船長に近づこうという計画だったが、実のところ港中の女性が同じことを企んでいたのだった・・・。

 馬鹿馬鹿しい話ですが、底抜けに明るく元気で、観ているだけで楽しくなってくる作品。ミュージカル調で派手なのもいいですね。

 いずれの作品もダンスのキレがよく、爽快です。キャラクターの感情をダンスで表現するのが巧みで、物語の展開もしっかりしています。個人的な印象としては、キリアンやフォーサイスより、ノイマイヤーの作品に近い印象を受けました。


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