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『ハンターズ・ラン』(ジョージ・R・R・マーティン、ガードナー・ドゾワ、ダニエル・エイブラハム) [読書(SF)]

 密林の奥地で異星人の秘密基地を発見した男が、逃亡者を見つけて始末するという任務を強要される。かくして始まる壮絶なマンハント。二転三転する意外なプロット、途切れない緊張感。『SFが読みたい!』ベストSF海外篇13位に選ばれた冒険SF。文庫版(早川書房)発行は2010年6月です。

 大自然を舞台に繰り広げられる壮大な追跡劇です。人里遠く離れた未開地域で異星人の秘密基地を発見した主人公が捕らえられ、命と引き換えにある任務を強要される。逃亡者を見つけて始末せよ、と。

 監視役の異星人と共に追跡を始めたものの、追われる側も必死。ただ逃げるだけでなく巧妙な罠で反撃してくる。生き延びることが出来るのは逃亡者か、それとも追跡者か。二人の死闘が始まった。

 というのが冒頭、ページ数にして1/3ほどの展開。このあたりで重要な設定が明らかになり、なるほどそういう話だったのか、となります。

 さらに山を越え、森を抜け、河を下り、追跡は続く。ページ数にして2/3ほどのところで、ついに逃亡者と追跡者の二人が出会う。敵か味方か、判然としないながらも、当面は二人で力を合わせないと生き延びることが出来ない。

 というわけで、互いにいつ寝首をかかれるか分からない緊迫した状況で、筏による川下りを敢行する二人。何度も助け合い危機を乗り越えていくうちに次第に芽生えてくる友情。だが、最終的にはどちらか一人が死ななければならない宿命なのだった。果てしない逃避行の果てに待っている結末とは。

 最後まで二転三転し、微妙に先の展開が読めないプロット。チュパカブラの襲撃、滝、異星人、さらには警察まで、次々と襲い来る絶体絶命の危機を乗り越えてゆく冒険小説としての面白さ、基本設定が生み出すSFとしての魅力、二つが見事に融合していて、さすが人気作家たちによる共作だと感心させられます。

 SF読みなら、マーティン、ドゾワ、エイブラハムという名前を見ただけで購入してしまうことでしょうが、実のところ、それほどSF色は強くありません。「ジャングルの奥地に宇宙人の秘密基地を発見!」という導入部と、あと基本設定さえ素直に受け入れれば、あとは手に汗握る冒険活劇のスリルとサスペンスを楽しむだけ。むしろ冒険小説の読者にお勧めしたい作品です。


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