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『ハナシはつきぬ! 笑酔亭梅寿謎解噺5』(田中啓文) [読書(ファンタジー・ミステリ・他)]

 金髪トサカ頭の不良少年が落語の師匠に弟子入りして、散々な目にあいながらも一人前の噺家を目指して頑張る、一応ミステリー作品ということになっているのですが謎解きがない回も少なくない人気シリーズ第五巻。単行本(集英社)出版は2011年10月です。

 笑い、熱血、青春、謎解き、人情噺、など絶妙にブレンドされた楽しい連作短篇集。毎回、古典落語のネタをベースに話が展開します。

 今巻は、テレビ番組出演の際に苦し紛れに放った一発ギャグがなぜか受けてしまい、一躍人気タレントになるという展開に。あちこちの番組から引っ張りだこ、ついには冠番組の話まで転がり込んでくるという、もう宝くじ当選状態。

 流れ込んでくる大金と殺人的過密スケジュールに振り回されているうちに、いつしか落語の世界から遠ざかっていた主人公。もちろん読者の予想通り、一発ギャグ人気が長続きするはずもなく、どでかい転落が待っています。泣きながら「安西先生、落語がしたいです」みたいなことに。

 他にも、父親のことが判明したり、バイク事故で声が出なくなったり、引退をかけた落語対決に挑んだり、毎回とんでもない危機に見舞われつつも、落語に対するひたむきさと師匠との絆で乗り越えてゆく姿には感動させられます。話の強引な展開もむしろ嬉しい。

 というわけで、それこそ落語のように気持ちよく読めるシリーズ、どの巻も同じように楽しめますが、ここはひとつ最初から順番に。なお、前巻までは文庫化されています。


タグ:田中啓文
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