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『機龍警察 輪廻』(月村了衛) [読書(SF)]

 来日したアフリカの反政府組織幹部。日本で誰とどのような取引をしようというのか。内偵している警視庁特捜部の由起谷警部補は、男の謎めいた笑みが気にかかる。だが、その笑みの背後にある闇の深さは、由起谷の想像をこえるものだった・・・。

 『機龍警察』シリーズ第二長篇の刊行に合わせて、読み切り短篇がSFマガジン11月号とミステリマガジン11月号にそれぞれ掲載されました。前者は『機龍警察 雪娘』で、これについては2011年09月27日の日記を参照して下さい。

 後者が、ミステリマガジン2011年11月号掲載作品『機龍警察 輪廻』です。

 泥沼化したアフリカ内戦に機甲兵装(軍用パワードスーツ)が投入されたときに生ずる事態を扱って読者を慄然とさせる切れ味鋭い短篇で、SFマガジンに掲載された『雪娘』よりもSF度はむしろ高め。『虐殺器官』(伊藤計劃)を連想する読者も多いでしょう。

 逆に『雪娘』はミステリ度が高かったので、掲載誌は逆の方がいいんじゃないの、とも思えますが、読者層を広げるために意図的に狙ったのではないでしょうか。確かにこのシリーズ、SF、ミステリ、冒険小説、どのジャンルの読者にも幅広く受け入れられるだけのパワーを持っていますので、ぜひ多くの人に読んでほしいと思います。とりあえず第二長篇『機龍警察 自爆条項』をお勧めします。


タグ:月村了衛
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