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『ドン・キホーテ』(アメリカン・バレエ・シアター)、『火の鳥』『春の祭典』『結婚』(マリインスキー劇場バレエ団) [映像(バレエ)]

 7月のNHK BS プレミアムシアターは、「ダンス特集」ということで、7月30日の23時30分から翌日4時まで、最近のアメリカン・バレエ・シアター日本公演から1本、およびサンクトペテルブルク白夜祭2008から3本の公演を放映。録画しておいてやっと鑑賞しました。

 まずは、先月の東京文化会館における『ドン・キホーテ』全幕から。キトリを踊ったのは加治屋百合子さん。ポーズが異様に美しく、そのスケールの大きさに驚かされました。爽やかで、華があって、可愛くて、とても良かったと思います。

 バジルを踊ったダニール・シムキン君は、舞台に登場したときは「こ、子供」という印象で、加治屋百合子さんをリフトするときも何だか危なっかしさを感じてしまいます。バジルのイメージじゃないよなあ。ところが、彼がその驚異的な旋回を披露するや、場が盛り上がること盛り上がること。すげえよ。どこのバシリニコフだよ。

 私がシムキン君を初めて観たのは、2006年1月に行われたプラハ国立劇場のバレエ・ガラ公演を収録した市販DVD『ディヴァイン・ダンサーズ プラハ・ライヴ』においてでした。これについては2006年11月12日の日記を参照して下さい。

 そのとき「この世には奇跡のような天才少年がいるものだなあ」としみじみ感じ入ったものですが、どうやらそのまますくすくと成長したようです。才能あふれるスターとしか云いようがありません。もうちょっと背が伸びて体格もたくましくなるといいのにね。

 続く『火の鳥』。ミハイル・フォーキン振付作品ですが、今観ると振付も演出もちょっとダサいような気がします。火の鳥を踊ったエカテリーナ・コンダウロワはさすがの貫祿というかすごくシャープ。彼女が踊っている最初と最後の場面だけは引きつけられるのですが、それ以外は何だか退屈してしまいました。

 『春の祭典』は、ニジンスキー原振付による「春祭」の原典。この振付ですが、今観ても少しも古びていません。これは凄い。圧巻です。後に作られることになる多くの『春の祭典』では、生贄の少女を選んで死に至らしめる、というプロットを過剰に強調することが多いように思えるのですが、ニジンスキーの原典では全てがシャーマニズム儀式としてごく自然に進行し、その呪術的なダンスにただ圧倒されます。泣きそうです。

 『結婚』は、ニジンスキーの妹であるニジンスカの振付作品。こちらも凄いです。その迫力と深刻さにビビります。貧しい地方における人生(特に女性の)がどんなものであるかよく分かるというか、リアリズムだなあ。

 思わずはっとするような表現、強烈な印象を残す動き、表情、全てが今観ても新鮮です。こんな振付をやってのけるとは、兄妹揃ってどんだけ天才なのか。この作品、以前に英国ロイヤルバレエで観たことがあるのですが、今回のマリインスキー版の方がずっと良かったと思います。さすがロシアバレエ。

『ドン・キホーテ』

出演: 加治屋百合子(キトリ)、ダニール・シムキン(バジル)、アメリカン・バレエ・シアター
収録: 2011年7月23日、東京文化会館

『火の鳥』(サンクトペテルブルク白夜祭2008)

振付: ミハイル・フォーキン
出演: エカテリーナ・コンダウロワ(火の鳥)、イリヤ・クズネツォワ(王子)、マリアンナ・パブロワ(王女)、ウラディーミル・ポルナレフ
収録: 2008年6月、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場

『春の祭典』(サンクトペテルブルク白夜祭2008)

振付: ワツラフ・ニジンスキー
出演: マリインスキー劇場バレエ団
収録: 2008年6月、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場

『結婚』(サンクトペテルブルク白夜祭2008)

振付: ブロニスラワ・ニジンスカ
出演: マリインスキー劇場バレエ団
収録: 2008年6月、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場


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