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『トンデモ本の大世界』(と学会) [読書(オカルト)]

 と学会結成20周年公式記念本。「トンデモ本」なる概念にはじめて触れる初心者から、と学会が世界を裏から支配していると信じる陰謀論者まで、幅広い読者に送る「と学会入門書」。単行本(アスペクト)出版は2011年6月です。

 あまりにも怪しげな本、ちょっとあたまおかしい本、人前で話題にしてはいけなさそうな本。それらをジャンルを越えひっくるめて「トンデモ本」と命名し、軽快に笑い飛ばしてしまう。

 『トンデモ本の世界』をはじめて読んだときは、そう来たかっ、と驚くとともに、あのもやもやとした何とも気になるアレら、というかアレらが当たり前のように書店に平積みになり多くの人に普通に読まれているというこの世の中、その不思議さにとうとう名前が付けられたことに、何ともすっきりとした気分になったことを覚えています。

 ああ、あれから既に20年ですか。

 そういうわけで、新たな入門書、あるいは20年の歴史を振り返るメモリアル本であります。

 まず、いきなり西原理恵子画伯による漫画「と学会とわたくし」5ページからスタート。と学会について「七割が成人病」、「10年前と全く同じ顔がただ年をとってくだけ」、「今や全く人の話が聞こえない高齢者サークル」など、とても分かりやすく紹介してくれます。続いて荒俣宏氏による思い出話がきて、とりあえず、つかみはOKということで。

 「第一章 これがと学会だ!」では、「この本で初めて「と学会」を知った読者」(単行本p.22)もターゲットに、と学会やトンデモ本の基礎知識を教えてくれます。長老たちが定番あるいは人気トンデモについて紹介し、「波動」から「アガスティアの葉」までトンデモ業界用語を解説、さらに、と学会の黎明期について語ります。

 と学会という名称が「と論プロジェクト」(東京大学の坂村健氏が提唱、してないと思う)から来ているというのは、私、本書ではじめて知りました。びっくりです。

 ここまでで約半分。と学会本をずっと読んできた読者にとっては今さらの話がほとんどですが、入門者はここからスタートです。

 「第二章 これがと学会の実態だ!」では、と学会の活動内容と、いくつかの新ネタをサンプルとして紹介。ノストラダムスはリーマン・ショックを正確に予言していた(という結論ありきで頑張ってこじつけてみた)、「火の玉」の正体はプラズマだというけど他の方法で再現できないか実験してみた、「聖書の暗号」風に徳川埋蔵金を探す、変な漫画をありのまま紹介するぜっ、といった具合。なにごとも基本が大切。

 個人的には「自転車本」という縁遠そうな分野にまでしっかり紛れ込んでいるトンデモ物件にインパクトがあったと思います。アウトドアやスポーツの分野にも、探せばあるんじゃないでしょうかね、いっぱい。

 「第三章 と学会を100倍楽しむ!」では、五島勉氏からコンノケンイチ氏まで、これまでと学会の存在を支えてくれた方々の業績と人物像を紹介。最後に「第20回日本トンデモ本大賞選考会」のレポート、そして主な会員の紹介で終わります。

 高須克弥さんのコラム(私の本をトンデモ認定した「と学会」は異端を認めない宗教者の集まりだ、などと冗談めかして(笑)など文末に付けつつも、目が笑ってない)をここに入れるところに、底意地の悪さを感じます。

  他に大槻ケンヂ氏、松尾貴史氏のコラムもあり。山本弘、皆神龍太郎、原田実、といった方々の似顔絵、なんだか馴染みのある絵柄だなあと思ったら、永野のりこさんのイラストだったんですね。

 というわけで、全体的に総決算というか区切りというか振り返りというか、これまでやってきたことを分かりやすくまとめてみました、同窓会だからお友達も呼んで挨拶してもらったよ、という観が強い一冊です。新ネタは分量が少ない上にいまひとつ衝撃力に欠けるので、それを目当てに購入した方は物足りなく感じるかも。

 むしろ、と学会やトンデモ本について知らない人に最初に読ませる入門書として活用できると思います。


タグ:と学会
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