SSブログ

『Tales From Outer Suburbia』(Shaun Tan、ショーン・タン) [読書(小説・詩)]

 『アライバル』のショーン・タンによる素敵なイラストが添えられた絵本のような短篇集。単行本(ハードカバー)出版は2009年2月。

 タイトルが示す通り、郊外住宅地を舞台とした不思議な話が15篇収録されています。それぞれの短篇には奇妙で美しいカラーイラストがついており、本文よりもむしろそちらの方が魅力的。イラストのサンプルは次のページでご確認ください。

    Tales From Outer Suburbia
    http://www.shauntan.net/books/suburbia.html

 話はごく短いものばかりで、基本的には、1.郊外住宅地に不思議なものが現れました、2.住民たちは大いに困惑しました、3.おしまい、というような構成。不思議なもの、というのは、水牛だったり、海獣だったり、手のひらサイズの留学生だったり、日本人だったりするわけですが、いずれも「移民」の暗喩であるように思われます。そういう意味では、現地目線で語られた『アライバル』といえるかも知れません。

 表紙に描かれている潜水服姿の人物は、「たしょけてー、たしょけてー」とつぶやきながらオーストラリアの郊外住宅街を徘徊している日本人で、よく見ると分かりますが画面には桜の花びらが散っています。日本人の浮きっぷりが現地でどんな風に見られているかよく分かりますね。

 個人的に最も気に入ったのは、”Why not make your own pet”(あなたのペットを自作してみよう)という作品。手書きのメモ、活字の切り抜き、そしてイラストを配置して、猫の自作方法を解説した見開き2ページのハウツー記事。ショーン・タン描くところの(ぶさいくな)茶色猫がやたらキュートで、あ、この人は猫好きに違いないと思いました。

 というわけで、ショーン・タンの作品では、まずは何といっても『アライバル』、そして『Lost & Found』ですが、両方とも気に入った方はこちらもどうぞ。

    『Tales From Outer Suburbia』(Shaun Tan)
    http://www.amazon.co.jp/dp/0545055873/


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0