『エンドレス・ガーデン』(片理誠) [読書(SF)]
『SFが読みたい!2011年版』において、ベストSF2010国内篇第14位に選ばれたパズルクエストSF。単行本(早川書房)出版は2010年9月です。
絶滅の危機に瀕した人類は、量子コンピュータに支えられた仮想世界に人格をアップロードすることで存続を図った。だが、主観時間にして数千年が経過するうちに、人々は次第に生きる気力を失ってゆき、自分専用の仮想空間「不可侵特区」にひきこもるようになってゆく。「世界」は今や崩壊の瀬戸際に立たされていた。
そんなとき、大規模なシステムエラーが発生。だがメインOSにはエラー領域にアクセスする権限がない。修復のためには、人間だけが使える特別なアクセスキーが10本必要だが、それらは持ち主不在のまま、メインOSには触れることの出来ない不可侵特区に散らばっている。
そこで、メインOSは、不可侵特区へのアクセスが許可されるエージェントである少年を作り出し、そして自らは疑似人格インタフェースとして少女の姿をとった。
こうして少年と少女は協力して10本のキーを集める旅に出る。だが、二人の行く手には、40万個もの不可侵特区と、挑戦者がキーの所有にふさわしい資質を持っている否かを試すための難解なパズルの数々が待っているのだった。
というような設定で物語は始まるのですが、まあ、ひたむきな純情熱血少年とツンデレ美少女が、様々なパズルに挑戦して面クリしてゆき、アイテムを全部集めてゲームクリア。架空のコンピュータゲームを元にしたパズル小説の連作短篇集みたいなものだと思って下さい。
いかにもな登場人物から、コンピュータゲームの雰囲気まんまの展開に至るまで、色々と鼻白んでしまうところも多いのですが、個々のエピソード(パズルの提示とその解決)はけっこう面白く読めます。アクションゲームあり、迷路あり、暗号解読あり、囚人のジレンマ(繰り返し型)あり、推理モノあり、ゲームブックあり。舞台も月面からドワーフの地下坑道までバラエティに富んでおり、読者を飽きさせません。
面をクリアする毎に、この「世界」の歴史が徐々に明らかになってゆき、同時に主人公である少年も成長してゆく(もちろんツンデレ美少女との仲も進展してゆく)のはお約束通りですが、さすがに、アイテムを集めてラスボスを倒して世界は救われました、というストレートなラストにはならず、それなりにちょっとしたひねりは用意されています。それほどSFとして凄いアイデアが出てくるわけではありませんけど。
というわけで、ひきこもり世界で延々とパズルを解いてゆくコンピュータゲーム小説、ということで、読者を選ぶ作品です。SFとしての新鮮味や、小説としての完成度はともかくとして、趣向を凝らしたパズルの数々を素直に楽しむつもりで読むことをお勧めします。
絶滅の危機に瀕した人類は、量子コンピュータに支えられた仮想世界に人格をアップロードすることで存続を図った。だが、主観時間にして数千年が経過するうちに、人々は次第に生きる気力を失ってゆき、自分専用の仮想空間「不可侵特区」にひきこもるようになってゆく。「世界」は今や崩壊の瀬戸際に立たされていた。
そんなとき、大規模なシステムエラーが発生。だがメインOSにはエラー領域にアクセスする権限がない。修復のためには、人間だけが使える特別なアクセスキーが10本必要だが、それらは持ち主不在のまま、メインOSには触れることの出来ない不可侵特区に散らばっている。
そこで、メインOSは、不可侵特区へのアクセスが許可されるエージェントである少年を作り出し、そして自らは疑似人格インタフェースとして少女の姿をとった。
こうして少年と少女は協力して10本のキーを集める旅に出る。だが、二人の行く手には、40万個もの不可侵特区と、挑戦者がキーの所有にふさわしい資質を持っている否かを試すための難解なパズルの数々が待っているのだった。
というような設定で物語は始まるのですが、まあ、ひたむきな純情熱血少年とツンデレ美少女が、様々なパズルに挑戦して面クリしてゆき、アイテムを全部集めてゲームクリア。架空のコンピュータゲームを元にしたパズル小説の連作短篇集みたいなものだと思って下さい。
いかにもな登場人物から、コンピュータゲームの雰囲気まんまの展開に至るまで、色々と鼻白んでしまうところも多いのですが、個々のエピソード(パズルの提示とその解決)はけっこう面白く読めます。アクションゲームあり、迷路あり、暗号解読あり、囚人のジレンマ(繰り返し型)あり、推理モノあり、ゲームブックあり。舞台も月面からドワーフの地下坑道までバラエティに富んでおり、読者を飽きさせません。
面をクリアする毎に、この「世界」の歴史が徐々に明らかになってゆき、同時に主人公である少年も成長してゆく(もちろんツンデレ美少女との仲も進展してゆく)のはお約束通りですが、さすがに、アイテムを集めてラスボスを倒して世界は救われました、というストレートなラストにはならず、それなりにちょっとしたひねりは用意されています。それほどSFとして凄いアイデアが出てくるわけではありませんけど。
というわけで、ひきこもり世界で延々とパズルを解いてゆくコンピュータゲーム小説、ということで、読者を選ぶ作品です。SFとしての新鮮味や、小説としての完成度はともかくとして、趣向を凝らしたパズルの数々を素直に楽しむつもりで読むことをお勧めします。
タグ:その他(SF)
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