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『ダンシング・ドリーム』(アン・リンセル、ライナー・ホフマン、ピナ・バウシュ) [映像(コンテンポラリーダンス)]

 今月から我が家でもようやく衛星放送を試聴する環境が整いました。そういうわけで、さる10月11日、NHK BS2「プレミアムシアター」でピナ・バウシュ特集を再放送してくれたのを録画しておき、観てみました。

 全体は三部に分かれていて、まずはヴッパタール舞踊団による来日公演『私と踊って』の舞台映像ですが、これはすでに実際の舞台を観ているため(2010年06月12日の日記参照)とりあえず早回し。

 次の「ピナ・バウシュの遺したダンス」は、舞踏批評家の貫成人さんによるヴッパタール舞踊団のジョセフィン・アン・エンディコットさんとドミニク・メルシーさんへのインタビューですが、個人的にはさほど興味深いとは思えませんでした。

 最後のパートは『ダンシング・ドリーム ~10代が踊るピナ・バウシュの「コンタクトホーフ」~』というドキュメンタリーフィルム。あまり期待しないで観ていたら、これがもう素晴らしい作品で、感激しました。

 アン・リンセルとライナー・ホフマンという監督二人が組んで制作したドキュメンタリー映画で、一般応募した(ダンサーではない)普通の10代の若者たちが、ヴッパタール舞踊団の指導のもとでピナ・バウシュの名作『コンタクトホーフ』を踊る、という公演を追ったもの。

 一年に渡って週一回のレッスンを続ける若者たち。最初は同年代の異性との身体接触だけでも嫌がっていた(「だって稽古場で顔をあわせるだけの知らない人なのよ!」)ダンスに関して素人だった彼らが、次第に真剣になってゆき、作品にうちこんでゆく様子。そして最初はぎこちなかった彼らが最後の公演でみせる感動的なパフォーマンス。

 途中に挟み込まれる若者たちへのインタビューも生々しく、そして映し出されるピナ・バウシュの姿も印象的。ちなみに、これがピナ・バウシュを映した最後の映像となったそうです。刮目しましょう。

 というわけで、若者たちの変容を通してピナ・バウシュの作品がどれほどの力を持っているのかをまざまざと見せてくれるドキュメンタリーフィルムです。最晩年のピナ・バウシュ、これから社会に乗り出してゆく10代の若者たち、その姿を重ねあわせることで「人生」というものを表現してのけた、これはピナ・バウシュの作品にも通じる傑作だと思います。

『ダンシング・ドリーム Dancing Dreams』
2010年制作
監督:ライナー・ホフマン(Rainer Hoffmann)、アン・リンセル(Anne Linsel)

 ちなみにDVDが市販されており、アマゾンでも注文できるようです。(ただし私自身は購入してないので、それ以上のことは分かりません)

    Dancing Dreams
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003Z9RJPC/


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