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『異邦人』(小野寺修二、カンパニーデラシネラ) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 小野寺修二ひきいるカンパニーデラシネラの新作公演『異邦人』を観るために、夫婦で三軒茶屋のシアタートラムまで行ってきました。原作はもちろんカミュの小説。事前に原作をチェックしておいたので(2010年10月08日の日記参照)助かりました。

 マイムを基本とするダンス公演ですが、演劇的な面も強く、特に何度も繰り返されるセリフが重要になります。役者の片桐はいりさんが、発声面で大活躍でした。

 とにかく楽しい舞台で、その高密度な演出には驚かされます。何しろ80分ほどの上演時間中、ほとんどの時間は、七名の出演者があたふた動き回り、緻密に計算されたマイムを展開し、大道具をあちらへ動かし、こちらへ引っ張り、数人で組んで小芝居し、ユニゾンで踊り、要するに舞台全体が忙しくなっているのです。

 一瞬ばらばらな印象を受ける各人の動きが、いきなりかみ合って見事なパターンを作り出す様は観ていてすごい快感で、これは癖になりますよ。片桐はいりさんが演劇面、大駱駝艦の田村一行さんがダンス面をリードしていて、個人的には田村一行さんの芸達者ぶりが楽しくて、何度も笑わせて頂きました。もちろんダンスもかっこ良く、実に爽快。

 会話の途中で役柄がどんどん交替していったり、同じシーンを何度も繰り返したり、回想シーンと現在のシーンが混線したり、そういった小野寺修二さんお得意の演出が原作の雰囲気を見事に表現しているのにも感心させられます。ダンス公演とはいえ、演劇ファンが観ても満足できるのではないでしょうか。

 目まぐるしく動き回る舞台とダンスをぎっしり詰め込んだような80分はあっという間に過ぎ去り、気がつくと終幕でした。あまりの密度に細部がうまく思い出せず、とりあえずもう一度観たいと思いました。


『異邦人』(カンパニーデラシネラ)
2010年10月10日、三軒茶屋シアタートラム
原作:アルベール・カミュ
演出:小野寺修二
出演:片桐はいり、田村一行、藤田桃子、森川弘和、菅彩夏、手代木花野、小野寺修二


タグ:小野寺修二
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