SSブログ

『BBC EARTH グレート・ネイチャー episode2 サケの大遡上』 [映像(映画・ドキュメンタリー)]

 衝撃と感動の『プラネットアース』から三年。BBCの新たな自然ドキュメンタリー・シリーズ『BBC EARTH』がやってきました。既に第5シリーズまで発売済で、来月には全6シリーズ34エピソードが全て店頭に並ぶわけですが、ここで焦っても仕方ありません。まずは第1シリーズ『グレート・ネイチャー』全6エピソードを収めたブルーレイBOXセットを購入してみました。

 最初のエピソード1だけ先行して廉価版(1500円以下)で発売されているのを6月に購入したのですが、後から購入したBOXセットにそれをそのまま挿入できるという仕掛けになっていて、これはとても良い工夫だと思います。

 エピソード2『サケの大遡上』は、北米大陸の温帯雨林が舞台となります。年に一度、太平洋サケが産卵のために生まれた川に戻ってくるのです。5億匹ものサケが一斉に川を遡ってくる、その移動距離は総計5000キロに達するというから唖然とさせられます。

 日本の総人口の5倍のサケが、東京・大阪間の実に10倍の距離を、絶食したままひたすら泳ぎ続ける。川が盛り上がって逆流するようなその大遡上こそが、内陸部に住むハイイログマを初めとする多数の動植物の生命を支えているのです。

 というわけでカメラはまず北米大陸のハイイログマの親子を追います。春になって冬眠から覚め、ロクな食べ物もなく、ひたすらサケが遡上してくるのを待っているハイイログマの姿がばばーっん、とアップで。毛の一本一本まで鮮明に、まるでほれ、すぐそこにいるかのように、リアルに生々しくお茶の間に。

 というか、よく考えたら、こいつグリズリーというか、要するにヒグマ。しかも飢えた巨大ヒグマが、すぐそこでこっち見てる。結構怖い体験かも。

 ふと『百姓貴族』(荒川弘)で荒川さんが、「北海道のヒグマの大きさ知っていると、本州のツキノワグマなら闘って勝てそうな気がするよ」などと気軽に発言した後、ニュースでツキノワグマの恐ろしさを知り、「私の発言は戦場で呂布を見た後に、関羽を見て、「あ、関羽なら勝てそー」って思っちゃうような、おろかな発言でした!!!」と汗流しながら謝るエピソードを思い出したり。そうか、ヒグマは呂布か。

 でも大丈夫。これは超望遠カメラでとらえた映像で、カメラマンはうんと離れて撮影しているのです。そうです。危険はありませんとも。

 ハイイログマが川の中に入り、水底に沈むサケの死体を後ろ足でとろうとして、背が立たなくて必死こいて立ち泳ぎしている(意地でも顔というか耳を水につけたくないらしい)ユーモラスな姿を水中からとらえたシーンには微笑んでしまいましたが、ちょっと待て、水中では望遠カメラは使えません。つまりこの映像はカメラマンがハイイログマつーかヒグマから数メートルしか離れてない場所で水に潜って撮影しているということに。それはあまりにも危険な撮影なのでは。

 ちなみにメイキングで確認すると、まさにその通りの撮影風景でした。ひぃ。

 さて、このエピソードの最大の見どころは、何といっても超スローモーションで映し出されるサケの滝のぼりシーンでしょう。滝の下の水面がいきなり割れて、サケが飛び出してくるのです。そのままサケは滝の上に向かって空中を滑るように飛んでゆきます。これは人間が四階建てビルを跳び越えるのに匹敵するちからわざだそうです。

 次々と飛翔してゆくサケ。その軌道の頂点で、待ち構えていたハイイログマが空中でサケをキャッチしてかぶりつく光景も超スローモーションで見せてくれます。同様に鳥が急降下して水中のサケを捕らえて飛び立つシーケンスも。驚くべき攻防の様を、時間を100倍に引き延ばしたハイビジョン映像で見ることが出来るなんて、何という感動。

 他にも、水中カメラでとらえたサケの集団産卵など印象的なシーンも多く、最後は内陸部の森林が吸収する窒素の実に80パーセントがサケ(の死骸)によってはるばる海からもたらされている。つまりサケの大遡上は、サケの存続だけでなく、ハイイログマやキツネや猛禽類、さらには森林そのものを支えているのだ、という生態系の驚くべき姿が明らかに。

 というわけで、「実は先行販売されたエピソード1だけが凄くて、後は退屈なのではないか」という一抹の不安も消し飛ぶ驚異的な映像でした。もったいないので、少しずつ観てゆくことにします。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0