SSブログ

『翼 TSUBASA』(森山開次) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 コンテンポラリーダンス界の“へんないきもの”森山開次さんが、ソロ活動10年目の記念として、2001年の初ソロ公演『夕鶴』をリニューアルして再演するというので、夫婦で世田谷パブリックシアターまで行ってきました。

 舞台上には、ピアノ、雪の吹き溜まり、花などが置いてありますが、何といっても目立つのは、中央に置かれた(というか上から吊り下げられた)巨大なオブジェ。飛び立つ鳥のようにも、翼を広げた蛇のようにも、個人的にはジャージー・デビルのようにも見える、照明によりメタリックに輝く美しい造形です。

 巨大オブジェに目を奪われている観客の、その背後から忍び寄ってくる鳥男。白い仮面をつけた森山開次さんですが、その手足の奇怪なねじれ具合、肩甲骨のうごめき、体重を感じさせないしゅるしゅるした移動など、はっきり言って気色悪いほど人間ばなれした存在感を放っています。

 舞台上では、ピアノ(阿部篤志)と、後半はトランペット(田中一徳)が、森山開次さんのダンスと共演し、あるときは神秘的な、あるときは滑稽な、またあるときは苦悩に満ちた、様々な感情を鮮やかに表現してゆきます。びっくりするほど密度の高い演出で、最初から最後までテンションが下がりません。

 オリジナルの『夕鶴』を観てないので比較は出来ないのですが、とにかく素晴らしい舞台でした。一時間ほどの公演時間のほとんどを、森山開次が踊る、踊る、踊る。ないはずの羽根が見えるようなリアルな羽ばたき。驚異的な身体バランス。明らかに人間、というか哺乳類のものとは思えないはっとするような鮮やかな動き。

 その幻影のようなダンスは、いつまで観ていても驚きが去りません。何だか、おっそろしいものを観てしまった、という後悔にも似た余韻が残りました。実はここ数年、森山開次さんの舞台を観てなかったのですが、深く反省いたしました。これからはちゃんと観ることにします。とりあえず会場で売っていた過去の公演映像DVDを二枚手に入れたので、これをチェックするところから始めることにします。

[キャスト]

演出・振付・美術・出演: 森山開次
ピアノ: 阿部篤志
トランペット: 田中一徳
衣裳: 廣川玉枝


タグ:森山開次
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0