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『私と踊って』(ピナ・バウシュ振付、ヴッパタール舞踊団) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 ヴッパタール舞踏団が来日して、昨年亡くなったピナ・バウシュの追悼公演を行うというので、夫婦で新宿文化センターへ行ってきました。ちょうど五年前にピナ・バウシュの『ネフェス』を観た劇場です。ありありと思い出が蘇ってきます。

 『私と踊って』はピナ・バウシュの初期作品で、大勢の(資料によると27名の)ダンサーが踊る演劇的な要素が強い舞台でした。けっこうセリフもあるし、ダンサーたちは(リュートの生演奏をバックに)ドイツの民謡を歌ったりします。

 気になる舞台装置ですが、今作では白い斜面と木、大量の黒い帽子など、比較的おとなしいものです。でも、根っこが付いたままの木が斜面から丸ごと観客席に向かって降ってきたりするので油断なりません。

 繰り返される身体の動き、叫び声、群舞によって、男女間のいさかい、衝突、葛藤、暴力が、様々な形で表現されます。哀しみ、いらだち、激情、絶望など、伝わってくる感情の生々しいこと。

 それでも人とのつながりを求める切ない気持ち(何度も繰り返される「私と踊って」というセリフが象徴的)、苦しみと絶望の先ににじみ出てくるかすかな希望、といったものを表現してのけるのは、さすがピナ・バウシュ作品です。

 最前列の席で観たので、ダンサーたちが舞台を走り回ると顔にびゅうびゅうと風が吹きつけてくるという臨場感でした。上演時間は一時間半ほど。一瞬も緊張が途切れない舞台であるため、見終わったときにはぐったり来ます。

 ロビーには1986年の伝説的な公演から今日に至るまでの、ピナ・バウシュの来日公演の舞台写真が展示されていて、これは見応えがありました。


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