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『トンデモマンガの世界2』(と学会) [読書(教養)]

 『トンデモマンガの世界』出版から二年。ついに第二弾がやってきました。単行本出版は2010年6月です。

 地球の命運をかけて侵略宇宙人と野球で勝負したり、文化部と運動部が戦争を繰り広げたり。読者も編集者も「そっとしておこう」と思うような、ちょっと踏みとどまり所を間違えてしまった作品を中心に、と学会の方々がそれぞれお気に入りのトンデモマンガを紹介する一冊です。

 全体は5つの章に分かれています。まず「第一章 有名作家編」では、水木しげる氏のデビュー作『ロケットマン』の紹介から始まって、あだち充の猟奇的野球漫画、ジョージ秋山の迷宮的告白漫画、など、著名作家たちの名声のまばゆい光に照らされた岩の下にひっそり埋められていた作品を、よせばいいのに、白日の下にさらします。

 「第2章 バカスポーツ編」および「第3章 対決マンガ編」では、格闘技、拳法、野球、ローラーコースター、麻雀、などなど様々な題材について「なんでもあり」のマンガ世界を構築しようとしてうっかり何かが暴走してしまったような異色作を紹介。

 「第4章 海外編」では、40年以上に渡って日本人ヒロインが活躍し続けているベルギーのマンガ、アメコミにおける「女ターザンもの」のめくるくるめく世界、中国における『ケロロ軍曹』海賊版のはちゃめちゃむちゃぶりをレポート。

 「第5章 実験的マンガ編」および「第6章 ノンジャンル編」で紹介されるのは、ジョジョっぽいマンガ大集合、写真を使ったマンガの妙な違和感っぷり、アニメーター入門をよそおったダークなギャグマンガ、ビックリマンシールに人生をかける少年少女の姿を大真面目に描いたマンガなど。

 個人的には第4章が面白かった。紹介されているマンガの内容よりむしろここまで「女ターザンもの」に入れ込む山本弘さんの姿に感銘を受けますし、明木茂夫さんには同一作品の「日本版」、「台湾翻訳版」、「中国海賊版」の三者比較、という研究を期待したくなります。

 と言いつつ、最も笑ったのは「読んだらやる気ゼロに!? アニメーター入門マンガ!」(新田五郎)の項ですね。わははは、こりゃひでえ。

 読後、こんなにいっぱい知らないマンガがあるんだなあという感慨と共に、マンガ文化の底力というか根っこというか床下補強材というか、力強さの源泉をかいま見たような気分になりました。


タグ:と学会
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