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『未確認飛行物体UFO大全』(並木伸一郎) [読書(オカルト)]

 やっと出ました。これまで並木さんが出した数々のUFO本や学研「ムー」に書いた記事から抜粋して編集した600ページを越える大作。いわば並木UFO本の集大成です。出版は2010年1月。

 もちろん並木本ですから、肯定派、ビリーバー寄りの記述になっています。不正確だったり偏っていたり重要な情報を伏せてたり、既に真相がほぼ判明しているケースについても無理やり「謎の事件」と言い張っているようなところが多く、真面目なUFO研究の参考にはならないでしょう。著者の姿勢を不誠実だと批判する人もいるかも知れません。

 でも、個人的には好きです。まずタイトルに「未確認飛行物体」という懐かしい響きの言葉を堂々と使っていることからして嬉しい。内容にも、子供の頃に夢中になって読みふけった怪しげな「空飛ぶ円盤本」の雰囲気が残っています。

 読み物として楽しめるように「見てきたような嘘」(目撃や遭遇の状況を小説風に再現というか創作してしまうというあれ)をぬけぬけと書いているのもおおらかで良いなあと、まあ、そう思います。

 「第1章 UFO史に見る重大事件」として、ケネス・アーノルド事件、ロズウェル事件からメキシコ空軍機事件まで、定番ケースを取り上げて解説。続く「第2章 接近遭遇」では、三大クラシックスから最近のドローンズに至るまで、様々なUFO事件が扱われます。

 有名なケースはほぼ網羅されているし、日本の毛呂山事件だとか、中国の螺旋形UFOだとか、南米の怪光線撃ちまくりUFOだとか、マニアックな事件も紛れ込んでいるのが素敵。

 もちろんパンケーキをくれた宇宙人やら、中学生たちにつかまった小型UFOやら、別の方向での定番もちゃんと紹介されているので大丈夫。何が。

 「第3章 疑惑」は、ツングースカ爆発とか、キャトル・ミューチレーションとか、ナスカの地上絵とか、デニケン的オーパーツとか、そういう周辺の話題。UFOと関係ないじゃん。「第4章 検証」は、UFOの正体を探るとか、有名な墜落円盤回収事件、様々な陰謀論、などを扱います。

 正直言って後半(コンタクティ以降)はつまらない。特に3章や4章の記事の大半にはうんざり。むしろここら辺ばっさり削って、代わりにウンモ事件とかヒングリィ夫人事件とかモスマンとかMIBとか、そういう変な話をもっと入れて欲しかったと思います。

 それと、ロズウェルで回収された遺体は日本人だった、みたいなネタに多くのページを費やす(たぶん自分が訳した本の宣伝のため)というのも止めてほしい。

 高価でぶ厚い割に、資料としては使えそうにないし、内容も偏りまくり、でも(少なくとも前半は)読み物としてけっこう面白い。というわけで誰にでもお勧めするわけにはゆきませんが、あくまで「並木さんがムーに書いた原稿をまとめて読みたい」、「昔の“空飛ぶ円版本”のいかがわしさが妙に懐かしい」、みたいなごく一部の方々にだけこっそりお勧めしておきます。


タグ:並木伸一郎
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