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『聖なる怪物たち』(アクラム・カーン、シルヴィ・ギエム、林懐民) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 先日、フランスの女優ジュリエット・ビノシュと組んだ舞台で話題を呼んだアクラム・カーンが、今度はシルヴィ・ギエムと組んで公演を行う、しかもギエムのソロパートの振付を担当したのは台湾の雲門舞集(クラウド・ゲイト・ダンスカンパニー)の林懐民先生ということで、大いに期待して夫婦で東京文化会館まで行ってきました。

 まず舞台美術に驚かされます。氷の垂れ幕を斜めに切り裂いたような印象的な背景、真っ白な床、氷山の中に閉じ込められたような白一色の舞台が、照明の巧みさによって不思議な空間に変わってゆきます。

 『in-i イン・アイ』ではダンスシーンが短いのが不満だったのですが、今度は共演する二人ともダンサーなので、がんがん踊ってくれました。それぞれがソロを交互に踊り、それから二人のデュオ、これを繰り返してゆくシンプルな構成です。

 アクラム・カーンのソロはけっこう長く、インドの古典舞踊「カタック」をベースにした激しくも優雅な動きに目を奪われます。その流れるような両手の動き、目にも止まらない旋回、タップダンスのように足で床を叩く技も見事で、とにかく胸がすくような爽快さ。彼のダンスは本当にカッコいい。ちなみにこのソロパートの振付を担当したのは、カタックダンサーのガウリ・シャルマ・トリパティ。

 ギエムも頑張ってましたが、林懐民先生の振付との相性のせいか、どうも器械体操みたいな淡白な印象になったのが残念です。静と動のメリハリが効いたいい感じの振付なので、これは雲門舞集のダンサーに踊ってほしいものだと思いました。

 デュオパートはアクラム・カーン自身が振り付けていますが、すぐに痴話喧嘩の動きになってしまうのが妙におかしく、そう言えば『in-i イン・アイ』でもそうでしたし、ひょっとしたら「異文化衝突のふりをした痴話喧嘩」というのが彼が追求するテーマなのかも知れません。違うかも知れません。

 全体で1時間というごく短い公演ですが、クラシックバレエ、インド古典舞踊、中国拳法の型など、様々な舞踏技法がほどよく盛り込まれた楽しい舞台でした。個人的にはアクラム・カーンのダンスをたっぷり観ることが出来たので満足です。


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