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『ロミオとジュリエット』(Kバレエカンパニー、中村祥子) [舞台(バレエ)]

 Kバレエカンパニーのゲストプリンシパル“SHOKO”こと中村祥子さんがジュリエットを踊る『ロミオとジュリエット』を観るために、夫婦で東京文化会館まで行ってきました。

 芸術監督である熊川哲也さんが振付・演出を担当した「熊川版」です。マクミラン版をベースに、話の展開を分かりやすくした上で、ドラマシーンを短縮して代わりに群舞シーンを増やした、という印象です。

 登場人物の掘り下げは不足しているし、話はむやみにてきぱきと進行し、何だか粗筋を大急ぎで説明されたような感じが残るので、演劇面に期待した観客はちょっと肩すかし気味かも知れません。あくまで踊りを見せることに徹した版だと割り切って観るとよいかと思います。

 一連の公演シリーズのうち熊川哲也さんがロミオを踊る回はチケット代がお高いので避けましたが、とにかく中村祥子さんのジュリエットが観られるのだから問題ありません。

 今回ロミオを踊った遅沢佑介さんも頑張っていましたが、何といっても中村祥子さんの存在感が素晴らしい。ちょっと手足を動かすだけで、舞台はもう彼女のもの。

 恵まれたスタイルを存分に活かした、伸びやかなポーズの美しさ。それをぴたりと静止させ保持するテクニックの凄さ。圧倒的です。まるで昔のTVアニメのスポーツもので、必殺技や魔球を繰り出す直前の「止め絵」のよう。

 あまりの爽快さ、カッコよさにシビれますが、ジュリエットとしてはやや説得力に欠けるというか、この迫力なら、婚約者と父親を殴り倒して強引にロミオと駆け落ちした方が自然な展開ではないか、などと感じてしまいます。まあ中村祥子さんが踊れば、どうでもよくなってしまうのですが。

 ちなみに背の高く見るからに筋肉質の彼女を何度もリフトしてぶん回さなければならない遅沢佑介さんがちょっと気の毒。リフトのたびに決死の覚悟で踏ん張っている気配が伝わってきて、愛の重さに耐えるロミオというか、足腰を痛めないようお祈りいたします。

 Kバレエの群舞は華やかで、観ているだけで楽しい気分になってきます。舞台美術のセンスも良く、さほど広いとは言えない舞台をうまく使いこなしていたと思います。

 というわけで、熊川哲也さんが踊る回だとまた違う印象なのかも知れませんが、とにかく中村祥子さんの雄姿が記憶に残る舞台でした。終演後のカーテンコールでも、観客の半数くらいがスタンディングオベーションで拍手を送っていました。


2009年11月7日 東京文化会館大ホール
Kバレエカンパニー公演『ロミオとジュリエット』

 振付・演出:熊川哲也
 ロミオ:遅沢佑介
 ジュリエット:SHOKO(中村祥子)
 マキューシオ:西野隼人
 ティボルト:清水健太
 パリス:ニコライ・ヴィユウジャーニン
 キャピュレット卿:スチュアート・キャシディ
 キャピュレット夫人:ニコラ・ターナ
 乳母:樋口ゆり


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