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『封印作品の憂鬱』(安藤健二) [読書(教養)]

 世の中には、諸般の事情により再放送も再販もDVD化も出来ない、いわゆる「封印作品」というものがあります。丹念な取材によりそういう封印された作品についての真相を暴き報告する、それが安藤健二さんの封印シリーズです。

 前作は少し力を抜いた感じだったのですが、今作は力作です。初代『封印作品の謎』に立ち返ったような、徹底的に食い下がるような取材で封印されるに至った真相を探ってゆく様は、読んでいて迫力を感じます。

 扱われている封印作品は、日本テレビ版『ドラエもん』、映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』、みずのまこと版『涼宮ハルヒの憂鬱』、という3本で、本数は少ないのですが、そのぶん内容は濃くなっています。ジャンル的にも、アニメ、特撮、漫画と揃っているあたり、よく選んであると思います。

 封印に至る経緯を調べてゆくうちに、円谷プロがタイの企業と争ったいわゆるウルトラマン裁判や、角川書店のお家騒動といった、制作者側を取り巻くドロドロした事情が垣間見えてくるあたり興味深いところ。さすがにドラエもんをつついて田中角栄が出てきたときには驚きましたが。

 なお、連載時には書かないでおいて、単行本にまとめる際に加筆されたという涼宮ハルヒTVアニメ第二期に関する内紛情報はけっこう興味深く、制作会社が読んで激怒するんじゃないかと心配です。本作そのものが封印される、ということはないにせよ、文庫版では削除または修正されるかも知れません。単行本初版をとっておいて、いずれ比べてみようと思います。

タグ:安藤健二
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