SSブログ

『笹公人の念力短歌トレーニング』(笹公人) [読書(小説・詩)]

 念力短歌で名高い歌人、笹公人さんの新刊です。ご自身が主催するブログに投稿された短歌とその講評を中心に、良い歌を作るコツを教えてくれる本。念力短歌入門書と見なして実作を目指すも良し、単に歌集として楽しんでも良し。

 内容紹介を兼ねて、投稿作品のうち私が個人的に気に入った作品をちょっと並べてみます。

--------

二万匹うなぎを食えば乗り移る六十五歳の斎藤茂吉

公園に午前六時に現れる祖父の構えは北斗神拳

幼子の作りしレゴを崩すとき吾の中に居るムスカを見たり

海老天のしっぽも残さぬひとだった 転居先不明の賀状の朱印

どうにでもなれよと脱いだやどかりの明日のことなどだれも知らない

巧妙にデザインされた暴動に加はる爲にチケットぴあへ

あの頃のあたしの支えのひと言はコックリさんが残した「い け て る」

失踪した叔父の部屋から編隊を組んで飛び立つレーザーディスク

恐怖新聞記者募集中履歴書に死亡理由を添付されたし

ロボットの三原則がいつの間にかウチの幼稚園の壁に張ってある

--------

 まあこんな感じ。

 皆さん、なかなかやるなぁと感心します。こういう作風の短歌をもっと読みたいので、ぜひ続編を出してほしい、というかシリーズ化してほしいと思います。

 なお、前作イラスト(とり・みき)に続いて、今作では帯イラストを吾妻ひでおが担当しています。ファンは買いましょう。そんでもって、次作は中川いさみ先生のイラストだといいなあ。

タグ:笹公人
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0