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『幻獣ムベンベを追え』(高野秀行) [読書(オカルト)]

 たいていのUMA本には、早稲田大学探検部がテレ湖の湖畔に1ヶ月近くキャンプしてモケーレ・ムベンベを探索した話が出てきますが、この探検隊の隊長さんが顛末を書いたノンフィクションです。単行本出版は1988年、文庫版は2003年に出ています。

 前から書名は知ってたのですが、何となく「今さら」な感じがして敬遠していたのですね。ところが、昨年に同じ著者の『怪魚ウモッカ格闘記』が出たので、ウモッカですよウモッカ、これはぜひ読まねばと、昨年末に2冊合わせて購入しました。

 で、まず『ムベンベ』を読んだのですが、予想よりずっと面白くてびっくり。

 とにかくモケーレ・ムベンベを見つけようと、気合でコンゴ(当時)の熱帯雨林に分け入る探検部の若者たち。現地人とのトラブル、熱病に倒れる隊員、襲いかかる飢餓、さらには仲違いや村の政治問題まで次々とトラブルが降りかかってきます。

 それでも、ひたすらモケーレ・ムベンベを探してテレ湖を見張る彼らの姿には、感動するより何より、まず呆れてしまいます。

 私も40代の半ばをすぎ、社会的常識もついていますから、この隊長の無責任さが目に余って仕方ありません。

 マラリヤで倒れた隊員を露骨に足手まとい扱いしてキャンプに放置してたり、機材が壊れボートに穴があき食料が尽きて全員が半病人状態になっているのに撤退も考えず玉砕覚悟でテレ湖に残ると言い張ったり、お前にはリーダーとしての自覚がないのか、と説教したくなります。

 しかし、その一方で、若さっていいなあ、こんな生き方しやがって羨ましいなあ、という気持ちもまた、むらむらとわき起こってくるんですよね。まあ、誰一人として死人が出なかったから、他人事だから、というのが大きいのでしょうが。

 ともあれ、読んでワクワクすること間違いなし、傑作ノンフィクションです。解説を宮部みゆきが書いているのもポイント高し。

タグ:高野秀行
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