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『封印作品の闇』(安藤健二) [読書(教養)]

 タイトルを見て新作かしらんと思ったのですが、単行本『封印作品の謎2』を文庫化に当たって改題したものです。紛らわしい題名変更はやめてほしい。

 えー、世の中には、再放送も再販もDVD化も出来ない、いわゆる「封印作品」というものがあります。本書およびその前作である『封印作品の謎』は、そういった作品群をいつ誰がなぜ封印したのか、その経緯を探るというノンフィクション。

 続編に当たる本書で取り上げられている作品は、『キャンディ・キャンディ』『ジャングル黒べえ』『オバケのQ太郎』『サンダーマスク』の4本。

 『サンダーマスク』は微妙ですが、その他はいずれも知名度抜群の国民的名作と言ってよく、「えっ、これが封印されてるの?」と驚く人も多いでしょう。というか私はオバQが封印作品だなんて想像もしてませんでした。

 全体を読み直してみたんですが、やっぱり面白いです。作品の背後にある対立、諍い、トラブル、遺恨、泥仕合などが次第に明らかになってゆく過程は、まるで出来のよい社会派ミステリを読んでいるかのように好奇心が強く刺激されます。

 文庫版では、写真や図版が大幅に追加されている上、最後にオバQ封印の秘密に迫る追加取材情報が加筆されており、単行本を持っている方も改めて文庫版を購入して読むだけの価値が充分あります。

タグ:安藤健二
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