SSブログ

『趣味は読書。』(斎藤美奈子) [読書(随筆)]

--------
「この本に元気をもらいました」
「これからも自分を大切にして生きていこうと思います」
何を読んでも同じ感想をもてるようになったら、あなたも一人前の善良な読者である。そして「てやんでぇ。こんなゆるい本」と毒づく邪悪な読者は、永遠に敗北し続けるのである。
--------

 というわけで、ベストセラーに縁のない邪悪な読者のために、「ならば私が読んでさしあげましょう」と読書代行業に挑んだ斎藤美奈子さん。

 邪悪な読者代表が、その性根をなるべく隠して素直な気持ちで読んだベストセラーの数々。まずは内容紹介、次になぜ売れたのか分析、そしてこのような本を読む読者像に関する勝手な憶測。

 公平かつ客観的な立場で、売れた本に敬意を表しようという努力にも関わらず、ついつい「何これ? こんなの読んで感動する奴って本当にいるの? 読者を馬鹿にしてない? というか馬鹿が読者じゃない?」という本音が透けて見えます。

 まあ、善良な読者は斎藤美奈子の著作など決して読まないので、問題ないかと思います。

 取り上げられているのは、『大河の一滴』『光に向かって100の花束』『鉄道員』『白い犬とワルツを』『買ってはいけない』『冷静と情熱のあいだ』『金持ち父さん、貧乏父さん』『五体不満足』『チーズはどこへ消えた?』『声に出して読みたい日本語』『ハリー・ポッター』『世界がもし100人の村だったら』などなど、どんな邪悪な読者でも書名くらいは知っているベストセラー50冊近く。

 単純に、この本を読めばベストセラー50冊を流し読みしたのと同じことになるので(読書代行業ですから)、それだけでも買いでしょう。斎藤美奈子さんのイヤミや毒舌が大好きな邪悪な読者には、もちろんお勧めです。

 文庫版では、新たに『頭がいい人、悪い人の話し方』『東京タワー』『ふぞろいな秘密』『えんぴつで奥の細道』『電車男』『国家の品格』の6冊が追加されているので、単行本を持っている人も再購入する価値はあります。少なくともこの6冊を買うよりは安価です。

タグ:斎藤美奈子
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0